「はやぶさ」は、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発して打ち上げた、小惑星探査機です。小惑星「イトカワ」とランデブーを行い、表面でサンプルを回収して地球に持ち帰るのが最大の目的です。
成功すれば、月以外の天体から初めて物質を持ち帰ることができたという偉業になります。
これは、地球以外の惑星の成り立ちや、太陽系の成り立ちを研究する上でとても重要なことです。
そして、はやぶさには当時の最新技術がたくさん詰め込まれていました。
■イオンエンジン
これまで、ロケットに使われるエンジンといえば化学燃料を燃やして噴射する燃焼式ロケットでした。はやぶさも、打ち上げ時は燃焼式ロケットでしたが、地球から惑星「イトカワ」までの惑星間空間の移動は「イオンエンジン」が初めて採用されました。
イオンエンジンは、推進力は燃焼式に劣りますが、長時間の連続噴射ができるメリットがあります。
これにより、燃料補充を一切行わないまま7年間という非常に長い期間でも運用できるようになりました。
■自立制御
地球から約3億2000万キロも離れた「イトカワ」に到着した際、「はやぶさ」は自分で判断して資料を採取しました。地球から遠隔操作したわけではないのです。
地球から遠隔操作しようとすると、指示を送信してから「はやぶさ」に指示が届くまでに計算上16分かかることになり、現実的ではありませんでした。
なので、「はやぶさ」に様々なセンサーを取り付け、「はやぶさ」に判断させたのです。そもそも、小惑星「イトカワ」の表面が砂なのか、岩なのかも分かっていない状態だったので、地球から指示を出すのは難しい状態でした。
「はやぶさ」は「イトカワ」を様々なセンサーで観察した後、自分でサンプル採取場所を決め、「ターゲットマーカー」を打ち込み跳ね上がった物質を、「ミネルバ」というカプセルに採取したのです。
■行方不明になって運用停止が検討された
「はやぶさ」は、7年間順調に旅をしてきたわけではありませんでした。様々な故障やトラブルを乗り越え、さらには一度46日間行方不明になりました。
これまで、行方不明になった探査機が再発見されたことなど一度もなかったので、コスト削減の為運用停止が検討され始めました。
しかし、46日目にSOS通信が管制室に届き、無事が確認されました。
■最後はカプセルを地球に帰還させた
2010年の今日、「はやぶさ」はサンプルが入ったカプセルを地球に射出し、自身は大気圏で燃え尽きました。
世界発の、月以外からの物質を持ち帰った「はやぶさ」。
サンプルの物質からは、たくさんの発見がありました。今でも研究が行われています。